林田力 だまし売りをなくしてSDGs

『東急不動産だまし売り裁判』著者

マンションだまし売り被害を消費者契約法で解決した裁判闘争を描くノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者。だまし売りをなくすことでSDGsの持続可能な消費に寄与したいと活動しております。
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チゲラーメン

「天然温泉 東京健康ランドまねきの湯」でチゲラーメンを食べました。チゲは韓国の鍋料理です。肉や魚介、豆腐、野菜などを味噌や唐辛子風味の調味料で煮込みます。チゲ鍋と言われますが、チゲ自体に鍋の意味がありますので、鍋は余計です。
チゲにはテンジャンチゲやコチュジャンチゲがあります。テンジャンは韓国味噌で、大豆を醗酵させて作ります。コチュジャンは唐辛味噌味で、もち米麹などを発酵させます。韓国の味噌は煮立てても香りが飛ばず、むしろコクが増します。
チゲラーメンはチゲをスープにしています。辛さを特徴としていますが、鍋料理の中の辛さですので、調味料で辛くしただけの料理とは異なります。熱くなる辛さです。食べながら汗が流れます。油断しているとむせてしまいますが、辛過ぎません。中国発祥の麺料理が日本でラーメンになり、韓国料理のスープを使います。日本・中国・韓国の文化が混ざっています。
「天然温泉 東京健康ランドまねきの湯」の温泉「美人の湯」から硫黄の匂いがしました。NHK『ブラタモリ』「阿寒・摩周 “色”とりどりな宝の秘密とは!?」(2019年7月27日)で温泉の硫黄の話が出たため、硫黄を意識するようになったのでしょうか。

コーポレートファイナンス 戦略と実践

田中慎一、保田隆明『コーポレートファイナンス 戦略と実践』(ダイヤモンド社、2019年)はコーポレート・ファイナンスの実践的な解説書である。会計からM&A、株主還元政策、IRなどファイナンスの話題を幅広く取り上げる。現実と乖離した勉強になりがちな会計書とは異なる実践的な書籍である。
本書にはコーポレートファイナンスが企業の成長にとって重要という問題意識がある。「はじめに」で以下のように述べる。「いいものを作れば売れる時代は終わりました。絶妙なタイミングで最適な資金調達を行い、大胆かつ緻密に練られた投資戦略を実行する、そうして初めて企業は移り気な顧客に長く愛される存在となります」
これは昭和の日本的経営から転換すべき点である。日本的経営の擁護者は、財務や株主重視の経営を目先の利益を追求する強欲資本主義と批判しがちである。しかし、財務や株主を重視した経営の方が市場という第三者の視線を重視している。「いいものを作れば売れる」という昭和的なモノづくりの発想の方が傲慢な押し付けである。
面白かった内容は「会計をファイナンスに生かすためのキャラクター分析」である。企業の性格を財務指標から分析する。最初に見る指標は総資産利益率(ROA; Return On Assets)である。これは企業が投下した全ての資産を使って、どれだけのリターン(利益)を得たかを示す。「営業利益/総資産」で求められる。
2016年度の外食チェーン3社のROAは吉野家1.6%、日高屋17.5%、ペッパーフードサービス12.0%。吉野家は苦戦しており、日高屋やペッパーフードサービスは優良である。その要因として日高屋は営業利益率、ペッパーフードサービスは総資産回転率が高い。
日高屋の営業利益率の高さは原価率の低さ(粗利率の高さ)に由来する。「ちょい飲み」という、「飲み」のメニューに力を入れている。アルコール類はフード類に比べると利幅が厚く、粗利率を押し上げている。
これに対してペッパーフードサービスの食材費は55.3%と外食業界の標準30%よりも高い。肉の量と質を重視し、それ以外の要素を削ぎ落し、代わりに回転率を上げることで固定費率を下げて利益を生み出している。これは肉を食べたい消費者にとってもコスパが高い。企業は様々な戦略で利益を出しており、単純に品質と価格が比例するとはならない。

実践!インサイトセールス AIに駆逐されない営業力

高橋研『実践!インサイトセールス AIに駆逐されない営業力』(プレジデント社、2018年)は従来型の営業から顧客のビジョンを実現するインサイトセールスへの転換を主張するビジネス書である。訪問型営業はAIに取って代わられる職業とされる。この時代に存在意義のある営業がインサイトセールスである。

インサイトセールスは顧客の経営理念や事業ビジョンを徹底的に傾聴し、その内容をしっかりと理解する。その上で、そのビジョンを実現させるのに必要な課題解決策を提案する。課題解決と言えばソリューション営業を想起するが、本書はソリューション営業を一時代前のものとして明確に区別する。

ソリューション営業は事業者が一方的に設定した課題解決提案である。年金代わりの安定収入との名目でマンション投資の迷惑勧誘電話をかけることもソリューション営業と強弁することができる。そのようなものはAIでも実現可能である上、顧客への価値もない。相手の意思の尊重を忘れ、売り上げだけを求めることは、人の気持ちを踏みにじる行為である。

これに対してインサイトセールスは顧客の価値観に沿った営業である。これができていなければソリューション営業と言ったところで、良い商品だから売れて当然という高度経済成長期のプロダクトアウト的な発想と大差なくなる。このインサイトセールスはCustomer Successの発想と重なる(ニック・メータ、ダン・スタインマン、リンカーン・マーフィー著、バーチャレクス・コンサルティング株式会社訳『カスタマーサクセス サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』英治出版、2018年)。

本書は具体的な営業方針も述べている。アポイントメントに際しては訪問の目的を正しく伝える必要がある。「ご挨拶に伺わせてください」といった曖昧なものは駄目である。この「ちょっとご挨拶だけ」はアメリカ人のビジネスパーソンから無駄な時間と嫌われる(小林真美『出世する人の英語 アメリカ人の論理と思考習慣』幻冬舎、2018年)。

このように私は本書にグローバルな感覚との重なりを感じた。一方で本書はインサイトセールスが刺さりやすい人々を創業社長や一族経営の後継者、地元密着を掲げる企業のトップとする。保身だけの公務員的な組織人に刺さりにくいことは理解できるが、随分ドメスティックな印象を受ける。一族経営や地元密着企業はビジョンが分かりやすいため、インサイトセールスの難易度が低いという事情はあるだろう。インサイトセールス自体は、もっと普遍性があると考える。

アフターデジタル

藤井保文、尾原和啓『アフターデジタル』(日経BP、2019年)はオフライン行動が全てデジタルデータとして取得され、オフラインがデジタル世界に包含される世界のビジネスの変化を論じた書籍である。このオフラインがデジタル世界に包含され、オフラインとオンラインの主従関係が逆転した世界をAfter Digitalと本書は呼ぶ。

今やモバイルデバイスやセンサーの普及し、行動データを高頻度で取得することが技術的に可能になった。現実に中国ではアリペイなどのモバイル決済やシェアリング自転車が普及しており、日本より先行している。インターネット時代に「リアルのコミュニケーションも大事」というバーチャルとリアルの二元論が唱えられた。これに対して、中国の先進企業はオンラインとオフラインを融合し一体のものとした上でオンラインにおける戦い方や競争原理を考える。

本書はオフラインとオンラインの主従関係が逆転する前をBefore Digitalと名付け、逆転した後をAfter Digitalと呼ぶ。紀元前をBefore Christとする英語の発想である。生半可な英語知識の日本人にはAfter Digitalをデジタル後の世界と解釈して、デジタル偏重を見直す先祖帰りした世界を想像する人がいるかもしれない。しかし、真逆の意味である。

このような生半可な英語知識では真逆の意味に解釈する危険は他にもある。Free DrugやDrug Freeは依存性薬物からの自由であり、依存性薬物を排除した世界である。しかし、自由に依存性薬物を摂取できる世界と誤解する日本人がいるかもしれない。

After Digital時代のビジネスは、オフラインからオンラインまで生活の至るところに顧客接点を作り、顧客の行動データを取得する。その行動データを活用し、顧客に対して最適なタイミングで最適なコミュニケーションを取り、商品・サービスの購入へと導く。消費者のニーズを無視したマンションだまし売りや消費者の時間を奪うマンション投資の迷惑勧誘電話は時代遅れの営業手法になる。

分解するイギリス 民主主義モデルの漂流

近藤康史『分解するイギリス 民主主義モデルの漂流』(筑摩書房、2017年)は、現代イギリス政治を紐解き、それが機能不全に陥っている現状を説明する。イギリスは議会制民主主義の先進国であり、議会制を取り入れる国のモデルとされた。今やモデルが漂流しているとされるが、日本の現実にも重なる。

既存政党の問題として、EU問題や移民問題など既存政党が意見を集約できない問題が登場した。日本でも外国人労働者受け入れ拡大の是非について既存の保守革新で賛成反対を色分けできないだろう。イギリスでは反EUを鮮明にしたUK Independence Party; UKIPが躍進した。しかし、UKIPの躍進がヨーロッパ議会選挙であることは皮肉である。ヨーロッパ議会選挙は比例代表制であり、小選挙区制の国政選挙では反映されない民意が反映される。EUを批判するためにEUの場を活用している。

イギリスでは首相に権限が集中する大統領制化が進んだ。典型は労働党のトニー・ブレア首相である。これも日本と重なる。少なくとも日本では官僚の省益追及や与党の派閥争いから抜け出す点で官邸主導は意味がある。官僚の抵抗より首相の主導の方が民主主義に適うだろう。

一方で首相がイラク戦争への参戦など賛否ある問題を強力なリーダーシップで進めることは民意の分裂を拡大した。分裂している状態に対して強力なリーダーシップが必要と言われることがあるが、実際は反対者を全員粛正する独裁者にならない限り、強力なリーダーシップは分裂を促進させがちである。この点も日本と共通する。

イギリスと日本の相違点は、公然とブレアの方針に反対する労働党議員が増加したことである。これを本書は大統領制化の負の面として分析するが、むしろ大統領制化の健全な帰結である。首相の大統領制化は社会的必要性があるとしても、権力集中の反作用として別のところから批判勢力が生まれる。それが権力の均衡と抑制checks and balancesになる。

もともと大統領制はアメリカがモデルになる。そのアメリカの議員は自党の大統領を批判するし、党議拘束も緩い。20世紀型大衆政党の党紀の考え方がダイバーシティの21世紀に合わなくなっているのではないか。この点では日本は巨額の政党助成金が政党の中央集権的な権力を強化し、政治家の政党依存度を高くしてしまう。日本の方が深刻に感じる。

ナナちゃん人形がサイボウズのボウズマン

ナナちゃん人形は名鉄百貨店メンズ館エントランス前にある巨大マネキンです。1973年(昭和48年)に誕生しました。股の下をくぐることができます。名古屋駅の待ち合わせ場所になっています。時期によって衣装が変わります。
ナナちゃん人形は2019年8月30日、サイボウズ株式会社のキャラクター「ボウズマン」になっていました。スーパーマン風のキャラクターです。「地球上のビジネスパーソンの危機を救うため日夜奔走しているイントラの星からの使者」という設定です。
周囲もサイボウズの広告で埋められています。広告は「待ち合わせにナナちゃん、名古屋にサイボウズ」と書かれています。これは「Cybozu Days 2019」に向けたキャンペーンです。サイボウズはグループウェアを提供するIT企業です。名古屋の昭和以来の名所をIT企業がジャックするとはデジタルのリアルへの浸透を再確認しました。
サイボウズは自由な働き方を追求する働き方改革の先進企業です。「プレミアムフライデーは、ありがた迷惑」の広告が話題になりました。公務員の発想は民間感覚からは非常識です。皆を一斉に早く帰らせることは全体主義・管理主義的な発想です。個人の事情を無視しています。

LinkedIn(リンクトイン)つながり4000人超

LinkedIn(リンクトイン)のつながりが2019年7月20日時点で4000人を超えました。どうもありがとうございます。共通のつながりが1000人を超える人もいます。
2019年6月28日:3900人
2019年5月18日:3500人
LinkedInはビジネス特化型SNSです。利用者数は5億人を超えました(Aatif Awan, The Power of LinkedIn's 500 Million Member Community, LinkedIn Official Blog, April 24, 2017)。
Facebookは友達5000人が上限です。それ以上増やすことはできません。新たに友達を加えたいならば、誰かを削除する必要があります。関わりの薄い方をコッソリ削除しています。このまま進めばLinkedInのつながりがFacebookの友達数を上回るかもしれません。
Facebook友達も国際色がありますが、それ以上にLinkedInは国際色豊かです。閉じられていないSNSと言えます。英語の発信を増やしたいと考えています。
https://jp.linkedin.com/in/hayariki

伊藤元重『百貨店の進化』

伊藤元重『百貨店の進化』(日本経済新聞出版社、2019年)は売り上げが減少し、シェアが縮小している百貨店の方向性を指摘する。今や消費者は豊富な情報を持ち、目的志向が強くなっている。昭和の販売方法や営業方法では消費者は動かなくなっている。

百貨店の地位低下の理由は明白である。第一に百貨店だけの時代ではなくなった。コンビニエンスストアやドラッグストア、紳士服専門店、SPA、大型モールなど消費者の買い物の選択肢が広がった。特に大型専門店の躍進で、高級品は百貨店で買うことが唯一の選択肢ではなくなった。

第二に大量に販売するマスマーケティングの行き詰まりである。消費者の嗜好が多様化し、流行品を売りまくる時代ではなくなった。

どちらも昭和の感覚のままではビジネスが続かず、百貨店ならではの価値を打ち出す必要がある。本書は効率性を強調し過ぎた売り場に魅力はなく、買い物を楽しむリアルな空間としての店舗を指摘する。

しかし、これでは大型モールと差別化できないと考える。買い物の楽しみというエンターテイメント性では東京ディズニーリゾートのイクスピアリには敵わない。百貨店という日本語からは何でも揃う効率的な店舗の方向性もあり得るのではないか。

もう一つ本書が指摘する方向性はB2CからC2Bへの転換である。百貨店には元々、外商部門があり、顧客一人一人を区別し、それぞれの顧客に合った対応をすることは得意である。情報技術を活用することで、人的コストをかけずに、富裕層以外の消費者に「個客対応」を広げることができる。

とは言え、悪い意味での「個客対応」もある。東急百貨店では認知症の高齢女性(78)に約1100万円分の婦人服を売りつけていた。認知症をカモにした過量販売・次々販売・多額販売である(林田力『東急不動産だまし売り裁判6東急百貨店だまし売り』Amazon Kindle)。お得意様が都合よく買ってくれる人を意味するならば、賢い消費者の百貨店離れは必然になる。カスタマーサクセスの発想が必要である。

その意味でC2Bというキーワードは魅力的である。店から顧客への流れから、顧客から店への流れである。「個客対応」を超え、顧客Customerから店Businessに対するアクティブな働きかけを可能にする。もっとも、個客対応以上のC2Bの具体的イメージは明確ではない。ここが課題になるだろう。

組織ぐるみの違法逮捕違法捜査のメッセージを送られた方へ

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風風ラーメン浦和道場店で豚骨ラーメン

豚骨ラーメンは豚骨スープのラーメンです。脂が浮き出た濁ったスープが特徴です。スープには旨味が詰まっています。豚骨のまろやかさ、香ばしさをしっかりと味わえます。スープの脂分が麺にしみわたり、麺も食べやすくなっています。豚骨ラーメンは長崎ちゃんぽんに着想を得たとされますが、脂っぽさが重なります。
豚骨ラーメンはギトギトに油っぽいというイメージがありますが、意外とすっきりしていて、胃にもたれません。臭みも感じません。スープを飲み干した後も、まだ飲める感覚が残ります。腹にドスンとたまるようなものではなく、飲みやすいスープです。腹八分目のラーメンです。
豚骨ラーメンは豚骨を強火でゴトゴト煮炊きます。するとコラーゲンが溶け出し、ゼラチンとなります。ゼラチンは水や脂と混ざって白濁したスープになります。鹿児島では骨付きの豚肉を似た郷土料理を豚骨と言います。これも長く煮込むことが特徴です。煮込めば煮込むほど臭みがとれ、コクが出ます。
豚骨ラーメンは「こってり」ですが、豚乳も「こってり」味と言います。帯広畜産大大学院修士課程1年の林田空さんの豚乳の研究は2017年9月の日本哺乳類学会で学生口頭発表優秀賞を受賞しました(「豚ミルク、なぜ利用されない? 畜大大学院の林田さんが研究」濃+ビジネス北海道2017年10月12日)。
ラーメンの四大分類は醤油、塩、味噌、豚骨です。但し、醤油と塩、味噌はタレ(調味料)であるのに対し、豚骨は出汁であり、分類の軸が異なります。豚骨ラーメンと同レベルの分類は鶏ガララーメンになるでしょう。タレは醤油で、出汁は豚骨という構成もあります。厳密には豚骨醤油ラーメンとなりますが、それを醤油ラーメンと呼ぶか豚骨ラーメンと呼ぶかは豚骨が強烈に溢れ出ているかになるでしょう。味噌ラーメンが北海道ならば、豚骨ラーメンは九州です。豚骨ラーメンの発祥地は久留米市とされます。
風風ラーメン浦和道場店は埼玉県さいたま市桜区道場の六間道路沿いにあります。店内にはカウンター席とテーブル席があります。漫画本が多数置いてあり、Free WIFIも利用できます。風風ラーメンはリズム食品のラーメンフランチャイズです。店内は明るく、家族や女性客も入りやすい店舗です。こだわりラーメン店のような入りにくさはありません。駐車場には大宮ナンバーだけでなく、所沢ナンバーの車も良く止まっています。毎月22日は風風ラーメンの日で店員とジャンケンに勝つと餃子がもらえます。

「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?

三田村蕗子『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか? 海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣』(日本実業出版社、2015年)は海外で受け入れられた日本の菓子を紹介し、そのマーケティングの秘訣を解説する。現地に最適化した味や価格が海外成功の鍵になる。

江崎グリコのポッキーはフランスではミカドという商品名で販売されている。味が濃厚な大人のイメージで販売している。ブランドイメージの統一という常識的な手法の真逆がヒットした。ブランドイメージの統一は企業側の事情である。現地の消費者感覚の方が大切である。

ポッキーはチョコレートとスナックから構成されるが、スナックの印象が強い。大人向けの菓子で勝負するとは大胆な挑戦である。菓子はコモディティ商品であり、外国商品が新規参入する場合は通常とは異なるジャンルで攻めるのかもしれない。

本書は日本の菓子の海外成功例を紹介するが、即席麺に比べればまだまだであり、もっとポテンシャルはあるとする。海外展開は、企業の活力を養い、未来を担う人材を育成するメリットがある。そこでは海外市場への最適化を図ることのできる非ガラパゴス的な人材が必要とする。良いものを作れば売れるという高度経済成長的な発想は足枷になる。

一方で本書は日本の菓子の完成度を世界に広げるために、オールジャパンの取り組みを指摘する。これはどうだろうか。本書が紹介した海外成功した菓子は平均的な日本の品質を持っているから成功した訳ではない。そのように言ってしまうならば本書のタイトル『海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣』の存在意義がなくなってしまう。

日本のアニメは素晴らしいコンテンツであるが、クールジャパンとなると税金吸い込み利権に見えてしまう。日本では官僚の干渉の少ない産業が国際的競争力を持っている。オールジャパンの発想も昭和のMade in Japan感覚の残滓ではないだろうか。

ユニコード戦記 文字符号の国際標準化バトル

小林龍生『ユニコード戦記 文字符号の国際標準化バトル』(東京電機大学出版局、2011年)は文字コードの国際標準であるUnicode策定に関わった著者の記録である。個人の体験談として書かれており、生々しい。一方でUnicodeそのものを学習したい人には不向きである。国際的な会議に参加したり、プレゼンしたりする人にはジャンルを問わず、参考になるだろう。

タイトルには戦記とあり、著者は戦っていたことになるが、どのような立場で誰と戦っていたのかは明確ではない。冒頭でパックスアメリカーナ(20頁)や情報帝国主義(28頁)というキーワードが出てくる。ここからはグローバリゼーション批判の立場に見える。

序盤ではルビを定義するルビタグをめぐる戦いに敗北したとある(44頁)。しかし、著者らの意見は注釈に入れられている。何が不満か分からない。外国人が日本語のルビを決めることはけしからんという発想であるとしたら偏狭である。本書自身が後半で以下のように指摘している。「日本の言語・文化については日本人がいちばんよく知っているという思い込みは何とかしてもらいたいものだ」(174頁)

むしろ著者はグローバルな感覚を持った人物として、日本の官僚的体質が矛先になる。日本人の問題として組織を代表して来ているのに「持ち帰って」と答えることがある(60頁)。これは決断が遅れるデメリットがある(61頁)。この決断が遅れるとは全体の決定が遅れるだけでなく、相手を待たせるという不利益がある。

また、本書では「同じ日本人だから」という情緒的な仲間意識で要求を通そうとする日本的コミュニケーションに嫌悪感を覚えたとする(67頁)。同質性を前提とした集団主義は、ダイバーシティの21世紀には時代遅れである。

著者の論理的明晰はカウンターの職員にも発揮される。職員に「少々お待ちください」と言われた時に「キミの言う少々とは、一分のことか、一〇分のことか、一時間のことか」と尋ね返したという(128頁)。問題点を曖昧にしない。

著者の戦った相手は日本国内のステレオタイプなユニコード批判がある。漢字について知らない欧米中心の統一規格で、日本と韓国と中国の漢字を一緒くたにしてしまうという誤った認識に基づく批判が起きていた(93頁)。その批判の背景はJIS漢字では森鴎外の「鴎」の本当の字体(シナカモメ)が使えないという問題であった。これはJISの問題であって、ユニコードはとばっちりである。

本書は、字形の異なる文字を全て独立した文字として文字コードを割り振ることを批判する。異体字を紐付ける電子的なメカニズムを設けることを主張する(101頁)。これによって浜を検索する際に、浜と濱の両方の電子テキストをヒットできるようになる。本書の主張は電子データとしての文字利用に適っている。

この争いを本書は文化と工業規格の争いと表現するが、今やコンピュータが出発点のクリエイターも多い。文字のために活字を作っていた前時代の業界感覚と情報時代の感覚との争いだろう。
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