埼玉県警機動隊「水難救助隊」の新人隊員・佐々木俊一巡査(享年26)が2012年6月29日に朝霞市の機動隊のプールで潜水「訓練」中に溺死した。「水深3メートルのプールの底まで繰り返し力ずくで沈め、動かなくなると引き上げて放置する。殺人、または拷問死というほかない残虐な事件が埼玉県警で起きた」(三宅勝久「裁かれる埼玉県警機動隊の“殺人訓練”――何度もプールに沈め溺死に」週刊金曜日2015年7月24日号)。
http://blog.livedoor.jp/hayariki2/archives/2089092.html
警察組織のパワハラ体質は批判されるが、その中でもブラックなパワハラである。パワハラと書くと「パワハラじゃなくて殺人」との反論があるかもしれない。殺人との評価を否定するつもりはないが、「パワハラではない」とする論理にはパワハラを軽いものとする発想が感じられる。パワハラで自殺が起きている。「パワハラかつ殺人」と表現できる。

埼玉県警は体力や呼吸状態を確認するなどの安全管理を怠ったとして、訓練の責任者だった51歳の警部や、指導員だった35歳の警部補など警察官6人を、業務上過失致死の疑いで2013年1月17日に書類送検した。上司を含む11人を停職や減給、戒告などの処分にした(「訓練中溺死 指導警察官を送検」NHK埼玉2013年1月17日)。

「埼玉県警は「私的制裁ではない。あくまで訓練だった」と強弁、さいたま地検も、警察の肩を持つかのように、末端の隊員一人を業務上過失致死罪で在宅起訴しただけで幕引きを試みた」(三宅勝久「「息子は警察に殺された」埼玉県警水難救助部隊の“殺人訓練”、息継ぎさせず繰り返し沈め溺死」MyNewsJapan 2015年8月7日)。取り締まる側が罪を犯した場合、この程度で有耶無耶にするのか。

業務上過失致死罪で起訴された巡査は無罪を主張したが、さいたま地裁での2016年6月6日の第3回公判で一転して起訴内容を認めた。「(佐々木さんの)パニック状態を見落としたことが事故の原因だった」と認めた(「機動隊水死公判 巡査「パニック状態を見落とす」 一転、起訴内容認める」東京新聞2016年6月7日)。

さいたま地裁(栗原正史裁判長)は2016年9月7日、業務上過失致死罪に問われた県警巡査に禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑・禁錮1年6月)の有罪判決を言い渡した。栗原裁判長は「(佐々木巡査に)息継ぎの余裕を与えず、繰り返し水に沈めた過失の程度は重い」と述べた(「機動隊員水死 訓練の33歳巡査に有罪判決 さいたま地裁」毎日新聞2016年9月7日)。

弁護側は「責任は被告だけでなく、適切な救命措置を施さなかった部隊全体にもある」と主張していた(「機動隊員水死で巡査有罪 指導の過失認める」産経新聞2016年9月7日)。「Yahoo!知恵袋」では警察が一番恐れる言葉は「責任」と指摘された。誰も自己の責任を認めようとしない。佐々木さんの母親の千春さんは「殺されたと思っている。無念です」と語る(「県警訓練中に水死 被告の巡査は無罪主張 遺族「殺された」」東京新聞2016年6月2日)。

東急不動産だまし売り裁判などのマンション消費者問題と警察不祥事には共通点を感じる。多くの消費者にとって不動産は一生に一度あるかないかの買い物のため、不心得な建築不動産業者はリピーター獲得のために顧客から継続的に選ばれる企業努力をしない方が得と考えてしまう。そのために東急不動産だまし売りのように売ったら売りっぱなしになる。親方日の丸の警察組織に市場競争がないことは言うまでもない。どちらも外部の目にさらされていないことが問題であり、情報公開が改革の一丁目一番地になる。

「息子は警察に殺された」埼玉県警水難救助部隊の“殺人訓練”、息継ぎさせず繰り返し沈め溺死
http://www.mynewsjapan.com/reports/2184
水難救助訓練中の機動隊員水死、の刑事裁判で指導役の警官・被告「死んだふりと思い静観」と供述。埼玉県警
https://blog.goo.ne.jp/jp280/e/b53b3f9fd5d39f06110269c620a4b83e
訓練中の機動隊員水死、埼玉県警幹部ら6人書類送検。訓練を中断しようとした隊員を水の中に押し戻して
https://blog.goo.ne.jp/jp280/e/dc8d6c2acccfb92b211ab889a491e009