さいたま簡裁(瀬尾豊治裁判官)は2016年10月17日、さいたま市大宮区の客引きおとり捜査に無罪判決(求刑罰金30万円)を言い渡した。男子大学生は2016年2月に大宮駅近くの繁華街の居酒屋のアルバイト中、客になりすました男女の警察官に客引きをしたとして現行犯逮捕された。埼玉県警は26.5メートルに渡り執拗な客引きをしたと主張する。学生は当初容疑を認めていたが、初公判では客引きをした距離などを否認した。自白を強要する日本の前近代的な取調べの問題がある。

判決は「つきまとった距離および執拗性についての犯罪の証明がない」とした。捜査報告書や男子学生が客引きをした際の録音などから、実際に客引きをした距離は「半分以下程度までしか認められなかった」。執拗性については、警察官が「(店に行くか)どうしようかな」「おいしそう」などの会話を大学生としており、「むしろ警察官の方から積極的な応対をしていた」と批判した(「客引きの大学生 さいたま簡裁、捜査手法を批判」毎日新聞2016年10月18日)。「条例で守るべき市民の平穏という前提が失われていた」と捜査の手法自体に問題があったとする(「客引きの大学生に無罪 簡裁判決 捜査手法を問題視 埼玉」産経新聞2016年10月19日)。

さいたま市では機械的形式的な規制による地域経済への影響を考慮し、地域の自助努力で繁華街における健全で快適な商業環境の創出及び確保を目指す姿勢である。「さいたま市商業等の振興に関する条例」第8条は「市は、繁華街の存する地域の商店会、自治会その他の地域を主体に活動する団体と協同し、又は連携し、来訪者が繁華街を快適に通行し、又は繁華街において安心して飲食、買物等をすることができる商業環境を整備するため、必要な措置を講じなければならない」と定める。

この条例に基づいて「繁華街における快適な商業環境の整備に関する指針」が定められた。そこでは市の責務として「来訪者の快適な通行を阻害する客引き行為の防止に関する意識の啓発」を挙げる。また、「事業者等は、来訪者の快適な通行を阻害する客引き行為を行い、又はさせることがないよう努めるものとする」と定める。