三田紀房『インベスターZ 3』は藤田美雪が桂蔭学園の同級生達と投資部「インベスターP」を設立する。財前孝史ら道塾学園投資部の話とインベスターPの話が並行して進む。表紙は財前と藤田が描かれ、張り合っている感じである。物語的にインベスターPは主人公の引き立て役になりそうであるが、こちらの方が投資物語の本道に感じる。

道塾学園投資部は他人の資金で投資している。金額も莫大であり、現実感がない。彼らが運用する金額が動くだけで市場に影響を及ぼしてしまう。非現実的な設定である。これに対してインベスターPは自分達の資金で投資する。金額も小さい。こちらの方が消費者には有益な投資物語になる。

ところが、キャラクターの立ち位置は捻じれている。第2巻で藤田は財前の投資方針がコンサバ(保守的)と批判する。これに対して財前は藤田が高級品で飾っていることを無駄遣いであり、三流の投資家と切り返す。これは藤田にとって痛恨の一撃であった。藤田が尊敬するバフェットも贅沢をしないためである。値段と品質が比例するという浅ましい拝金主義的価値観を否定している。

藤田は財前をコンサバと批判したものの、インベスターPでは堅実な長期的投資を志向する。これに対して財前は投資部の保管する財宝の売却を提案するという危なさを出している。第2巻の議論では財前の肩を持ちたくなるが、第3巻では財前の方が危なく感じる。