三田紀房『インベスターZ 4』は財前孝史らの話とインベスターPの話が並行して進む。これは前巻と同じである。財前の投資は、それなりに経済を勉強しており、iPS細胞の話も詳細に説明されるものの、物語はギャンブル的に描かれる。『賭博黙示録カイジ』の雰囲気がある。これに比べるとインベスターPは地に足がついた真っ当さを感じる。こちらをメインとした方が健全な投資漫画になるのではないか。
救いは財前もインベスターPも自分が良いと思ったものに投資することである。全体の利益や長期的視点で我慢することはしない。ケインズの美人投票のように他人がどう思うかを優先させない。財前の話は何となく暑苦しいが、目の前の問題を解決するために皆で頑張ろうという昭和の暑苦しさとは異なる。
個々人が良いと思った企業に投資する。それが社会で見れば有益なところに資金が集まる。消費者感覚で投資することが世の中を良くする。この反対が政府の産業政策の無策である。官僚主導経済は民間の足を引っ張っている。
財前のターンでは財前家の謎の話も出てくる。曽祖父は道塾投資部と関係のある人物であった。第二次世界大戦とも関係する。父親がお金を嫌う公務員であることも何か理由がありそうである。
主人公が実はそれなりの家系であったとの話は物語の一つのテンプレートである。『ONE PIECE』の主人公ルフィは海軍本部中将ガープの孫で、革命家ドラゴンの息子である。『NARUTO』の主人公ナルトは四代目火影(木ノ葉隠れの里の長)の息子である。『BLEACH』の主人公・黒崎一護は死神と人間の息子である。それだけではないものの、彼らは皆、血統が強さの一因となっているエリートであった(林田力「『エア・ギア』第32巻、努力と友情の力で天才に勝利」リアルライブ2011年6月22日)。親の格差が子どもに影響する格差社会の影響だろうか。