西ゆうじ原作、ひきの真二作画『華中華(ハナ・チャイナ)』(小学館)は徳島県から横浜中華街に出てきた女性・中村華子が楊貴妃の幽霊に導かれて中華料理人を目指す料理漫画である。チャーハンという庶民的な料理を工夫する点で好感が持てる。価格と味が比例するという高価な料理を有り難がる愚かさはない。
中華鍋は使い込むことで味が出る。この点も高価なものが価値があるという価格信仰の愚かさに陥っていない。
一方で華子の働く中華料理店はブラック企業的である。料理は作らせてもらえず、給料は僅か三万円である。楊貴妃の幽霊や大叔父が見守っているが、先ずこのブラック企業を何とかすべきではないか。実際、華子のチャーハン作りは他の店で行っている。下積みの修行は才能の浪費である。健気に頑張ることを美徳とする昭和の感覚は萎える。
楊貴妃が人助けしたり、性格が良かったりすることは、あまり楊貴妃らしさを感じず、違和感がある。しかし、本作品の楊貴妃は安史の乱で殺害されず、玄宗によって日本に逃がされたという設定になっている。それならば本作品のような性格の楊貴妃も成り立つだろう。