成毛眞『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社、2018年)は世界最先端企業であるAmazonを解説した書籍である。Amazonは書籍のインターネット通販から始まったが、「地球上で最も豊富な品揃え」をセールスポイントとしてインターネット通販で圧倒的な地位を占めている。その強みをAmazon BusinessやAmazon Web ServiceとB2Bでも活かしている。

Amazonは自己を「地球上で最もお客様を大切にする企業」と定義する。この説明は考えさせられる。昭和の感覚で「最もお客様を大切にする」と言えば、常連客への接客など人間的なつながりをイメージするだろう。インターネットで取引が完結するAmazonは、その対極にある。他のネット通販と比べてもポイント還元などのサービスが良いとは言えない。

しかし、そのドライさが逆に消費者には心地良い。ある顧客に特別なサービスをする企業は、別の顧客への塩対応で補っているのかもしれないためである。恣意的な取扱いに比べれば機械的な平等の方が公平であり、公正である。それが逆に人間的である。

Amazonは積極的な投資で知られている。一方で撤退も早い。たとえば2014年に米国でスマートフォン事業に進出したが、翌年には撤退した。Fail Fastを実践している。物や情報のロジスティックスのプラットフォーマーにとってスマートフォンが何かは問題ないのだろう。むしろ、そのスマートフォンでも物や情報を購入する際にAmazonを利用することが重要である。これは電子書籍のKindleも当初、専用リーダーを用意したが、それにこだわっていないことと重なる。