三田村蕗子『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか? 海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣』(日本実業出版社、2015年)は海外で受け入れられた日本の菓子を紹介し、そのマーケティングの秘訣を解説する。現地に最適化した味や価格が海外成功の鍵になる。

江崎グリコのポッキーはフランスではミカドという商品名で販売されている。味が濃厚な大人のイメージで販売している。ブランドイメージの統一という常識的な手法の真逆がヒットした。ブランドイメージの統一は企業側の事情である。現地の消費者感覚の方が大切である。

ポッキーはチョコレートとスナックから構成されるが、スナックの印象が強い。大人向けの菓子で勝負するとは大胆な挑戦である。菓子はコモディティ商品であり、外国商品が新規参入する場合は通常とは異なるジャンルで攻めるのかもしれない。

本書は日本の菓子の海外成功例を紹介するが、即席麺に比べればまだまだであり、もっとポテンシャルはあるとする。海外展開は、企業の活力を養い、未来を担う人材を育成するメリットがある。そこでは海外市場への最適化を図ることのできる非ガラパゴス的な人材が必要とする。良いものを作れば売れるという高度経済成長的な発想は足枷になる。

一方で本書は日本の菓子の完成度を世界に広げるために、オールジャパンの取り組みを指摘する。これはどうだろうか。本書が紹介した海外成功した菓子は平均的な日本の品質を持っているから成功した訳ではない。そのように言ってしまうならば本書のタイトル『海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣』の存在意義がなくなってしまう。

日本のアニメは素晴らしいコンテンツであるが、クールジャパンとなると税金吸い込み利権に見えてしまう。日本では官僚の干渉の少ない産業が国際的競争力を持っている。オールジャパンの発想も昭和のMade in Japan感覚の残滓ではないだろうか。