小川悦司『中華一番!』(講談社)は19世紀の中国を舞台に少年料理人が活躍する歴史グルメ漫画。料理漫画の古典である。『真・中華一番!』は続編である。主人公マオは料理人の頂点である特級厨師に史上最年少で昇り詰めた。中国各地で料理の修行をしてきて、広州の店に帰るところから物語は始まる。

第1巻は鶏料理と焼売の話。料理の特徴は調味料の存在感が希薄なことである。素材で勝負している。味のハーモニーも素材と調味料ではなく、素材と素材である。焼売の話は料理対決である。料理対決と言えば悪の料理人が出てきそうであるが、この話は清々しい対決になった。

当時の中国は清朝であり、人々は弁髪をしていたが、この漫画ではしていない。当時の人がビッグバンという言葉を使うなど時代考証を無視している。19世紀はイギリスから阿片が密輸され、清朝の社会を蝕んだ時期である。中国にとって苦難と屈辱の歴史である。この点は第1巻には描かれていない。薬物依存では料理の微妙な美味しさが分からなくなる。日本でも危険ドラッグ売人が激辛好きと発言した。グルメと薬物依存は両立しない。