組織には役職と職位という二種のランクがある。「日本企業の多くの従業員は「役職ランク上は課長、職能資格制度上は主事」といったように2つの「偉さ」の称号をもち、昇進も職階制度上の昇進と職能資格制度上の昇進の2つから構成される」(今野浩一郎『人事管理入門』「社員区分制度と社員格付け制度」)

軍隊ならば役職は師団長、旅団長、連隊長などになる。資格は大佐、大尉、軍曹などになる。前者ならば病気で任に就けなければ外れることは当然である。但し、代理を任命する方法もある。

資格の場合は必ずしも病気だから降格とはならない。特に昭和の年功序列では基本的に降格はなく、昇格も勤続年数に大体比例していた。しかし、それはモチベーションを阻害するということでアウトプットを重視して、昇格や降格を決める成果主義が取り入れられてきた。この場合でも病気だから自動的に降格は、中々考えにくいものである。民間企業で育休取ったら降格ならば、マタハラとして問題視されるだろう。

働く人にとって資格は給与と連動するため、ぬるま湯体質では資格が量産されがちである。役職は組織の必要性から作られる建前である。公務員組織は無駄な役職の量産が得意とされるが、それでも役職の量産には限度がある。職位は役職以上に量産しやすい。逆に民間企業では職位は従業員の給料と連動するために、人件費の観点で職位の量産に歯止めがかかる。むしろブラック企業では名ばかり店長や名ばかり管理職が量産されている。

役職と職位は別個のものであるが、そもそも資格は必要かという問題がある。フラットな組織において階級的な職位は有害ではないかとの発想である。日本の古い体質の組織では、どうしても年功序列が抜けきれない、成果主義を実践したくても成果を明確に定義できない、成果主義を実践すると上司の好き嫌いの評価にしかならないという問題を抱えている。

そこで裁量を入れずに明快なルールとしてポストと資格を連動させる制度もある。課長相当の資格は課長職に現在あるものに与えられるとする。このような制度にしているならば課長が病気で、課長職から外れたことで、資格も主査に降格という現象の説明が付く。