高見広春『バトル・ロワイアル』は中学生達が殺し合いを強いられるという問題作である。映画が2000年に公開された。漫画化もされた。バトル・ロワイアルを行う城岩中学3年B組の担任教師が林田昌朗(はやしだ まさお)。

映画版の林田は修学旅行のバスの中で女子生徒達と一緒にゲームで遊んでいる。生徒達から慕われている教師である。道路に自衛隊の姿が多いことに気付き、不安を感じていた。危機意識も持っている。

その後、林田はバトル・ロワイアルに反対して殺害される。林田の遺体は生徒達に見せられ、バトル・ロワイアルが本気であることを説明することに利用される。林田の存在は日常と非日常の境界という効果がある。生徒達から見れば林田が非日常の堤防になっていた。

バトル・ロワイアルに反対する林田は良心的である。2019年秋は神戸市立東須磨小学校で激辛カレーを強制的に食べさせるイジメが問題になった。それとは対照的な教師である。林田先生と言えば羽海野チカ『3月のライオン』が有名である。この林田先生も良い教師である。林田は良い教師のアイコンになっているのだろうか。

往々にして全体主義体制では教師は、子ども達に自発的な自己犠牲を要求する体制の走狗となりがちである。林田のような良識が全体主義の堤防になる。本作品は青少年への悪影響を危惧されたが、むしろ全体主義の恐ろしさを批判的に受け止めることもできるのではないか。