私はマンションだまし売りを消費者契約法で解決した立場として消費者感覚を根本に置く。それ故に財政も健全財政を支持する。古来より、財政は「入るを量りて出ずるを制す」である。
健全財政は主権在民の観点からも意味がある。国民にとって財政規律は官僚の財政支出の裁量を縛るものであり、法の支配や立憲主義と同じく、政府の無制限な行動に制限をかける有益なツールになる。
財政赤字は国家にとって恥であり、悪である。日本の財政の危険性に警鐘を鳴らし、警告する声はそこかしこにある。低金利(マイナス金利)によって国債の利払い負担を誤魔化しているが、金利が適正化すれば財政負担が深刻になる。
市場は正直である。ギリシアでは財政赤字隠蔽が露見した結果、ギリシア危機が起きた。ユーロが下落し、ギリシア国債の金利が上昇した。日本の問題は市場原理が機能していないことである。国債の買い手のプレーヤーは国内中心であり、財政赤字の深刻さを受け止めておらず、経済合理性を無視して国債を有り難がって購入する。もっと第三者の目が入れば変わるだろう。やはり政治にもっと消費者感覚、民間感覚が必要である。
財政赤字状態であるにも関わらず、景気刺激のために財政出動をすることは、安静が必要な病人にカンフル剤などを打ち込んで無理やり元気にするようなものである。一時の快楽のために余命を縮める。麻薬や危険ドラッグでハイになっているようなものである。
財政赤字削減は透明性があり、効率的な政府への改革の原動力になる。「2000年代初め、トルコにおいては、壊滅的な赤字、脆弱な金融制度、資本逃避が、大規模な経済危機につながり、2003 年の医療変革プログラムの原動力になり、同国の大規模な政府改革を後押しした。金融危機の後遺症は、政府赤字を削減し、国の官僚体制をスリム化、効率化することを目指す取り組みにつながった」(前田明子、エドソン・アロージョ、シェリル・キャッシン、ジョセフ・ハリス、 池上直己、マイケル・ライシュ「包括的で持続的な発展のためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:11カ国研究の総括」日本国際交流センター、2014年、30頁)
財政健全化という言葉自体が財政は健全化した方が良いという価値観を表している。それに逆行することは大麻合法化論と同じように常識に反する議論であると自覚した方が良い。そのような主張を広めたいならば相手の問題意識に即した丁寧な議論が不可欠である。誰々先生が言っているからとの結論の押し付けは、大麻合法化論の世界の話と同様、意味をなさない。