「へえ~。そんな伝承があったんだね。知らなかったよ」
「そうなんです。だから私の名前の由来もここにあるんじゃないかなって思ったりして……」
「なるほどねえ……」
「それでですね、お母さんに聞いたら、『それは違う』と言われちゃいました。『林田郷には林田という地名はないわよ。それにあなたの名前は漢字が違うじゃない』って言われて、ちょっとショックだったんですけど、でも確かにそうだと思って納得しました」
「そっか。それなら良かったじゃないか」
「はい。これで安心できました」

「ところで、お腹はすいていませんか?」
と聞いた。
「うん、実はペコペコだよ」
「それなら何か食べていきますか?」
「ぜひお願いしたいなあ」
「分かりました。今すぐ用意させましょう」
厨房に向かって言った。
「お前達、ちょっと来てくれ!」
すると中年の女性が現れた。
「何でしょうか?」
「お客様に食事を用意して欲しいんだけど頼めるかなあ」
「はい、大丈夫ですけど……、あのう、どちら様でしょう?」

讃岐の林田
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