林田力 だまし売りをなくしてSDGs

『東急不動産だまし売り裁判』著者

マンションだまし売り被害を消費者契約法で解決した裁判闘争を描くノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者。だまし売りをなくすことでSDGsの持続可能な消費に寄与したいと活動しております。
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公共

イスラム最終戦争

マーク・グリーニー著、田村源二訳『イスラム最終戦争』はアメリカ合衆国政府の機密情報漏洩と、それを悪用したテロとの戦いを描く政治スリラー小説。トム・クランシーのジャック・ライアン・シリーズの一冊である。『レッド・オクトーバーを追え』でCIAアナリストとして活躍したジャック・ライアンが、本作品では大統領になっている。『レッド・オクトーバーを追え』は潜水艦の推進装置の謎がテーマになり、テクノスリラーというジャンルの作品となった。本作品もデータマイニングなどIT分野の技術要素が濃い。情報社会を反映している。

原題は『True Faith and Allegiance』(真の信仰と忠誠)。原題と邦題が全く異なる。邦題は日本人には分かりやすいと判断されたためだろうが、偏りを感じさせる。本作品では米国内でISのテロが多発するが、IS=イスラムではないし、本作品の敵はイスラム教徒だけでもない。本作品はアメリカとイスラムの戦争ではない。日本社会は米国以上にイスラムとの戦いの意識が強いのだろうか。

『イスラム最終戦争 3』(新潮文庫、2019年)はテロリストとの銃撃戦で始まる。負傷者を応急手当てする人物の姿勢がプロフェッショナルである。「心配させまいと傷の具合を軽めに言うことはないし、反対に必要以上に大袈裟に言うこともない」(28頁)。医師は、かくあるべきである。真実を伝えない、伝えることを遅らせることが良いことのように考える日本の感覚はなくすべきである。

情報漏洩によって軍人や政府職員を狙った暗殺が多発的に起きていた。情報漏洩は政府が契約したIT会社が仕事の一部を海外の会社に出していたことが問題視される(97頁)。海外企業への委託は日本の年金でも問題になった。しかし、根本的な問題は、漏洩した政府機関のITガバナンスの欠如である。「どんなサーヴァーがあり、そこにどんなデータベースが保管され、どんなデバイスが接続されているか、といったことが一目でわかる一覧表さえありませんでした」という状態であった(98頁)。海外ではなく国内だから安全、外注ではなく自前だから安全とはならない。

ライアン大統領は、政府官僚の対応の悪さに苦しめられる。「彼の人生の大半は何らかの形で政府の官僚制に対処することに費やされてきた」とまで書かれている(102頁)。日本人から見れば米国は官僚制の弊害回避に長けている。その米国でも官僚制の弊害を完全になくせていない。納期意識に欠ける日本の公務員と接したら、大統領は激怒するのではないだろうか。

邦題の『イスラム最終戦争』と異なり、米国政府はムスリムとの戦争にならないように注意している。司法長官は「わたしは司法省の職員全員にイスラム・コミュニティと良好な関係を築き、くれぐれも注意深く付き合うように指示しました」と述べている(204頁)。本作品にはアラブ系の名前を持ったイスラム教シーア派のFBI特別捜査官も登場する(241頁)。ここには日本以上に政府機構の寛容さがある。

本書ではイラクでの米軍のISとの戦いも描かれる(131頁以下)。航空機で地上を攻撃する米軍は楽な戦いに思えるが、地対空装備によって撃墜されることもある。航空機が圧倒的に優位とは言えなくなっている。日本は太平洋戦争で優れた大艦巨砲主義に固執して航空技術を持ちながら活かせなかった反省と大戦末期の空襲被害の経験がある。このため、進歩派は航空優勢を重視する構図があるが、地対空や地対艦の攻撃技術は進歩しており、航空機を飛ばすよりもコスト効率が高い。第二次世界大戦の教訓が時代遅れになりつつあるかもしれない。

中山祐次郎『医者の本音』

中山祐次郎『医者の本音』(SBクリエイティブ、2018年)は、医者の本音を明らかにした書籍である。医者の本音を世間に理解して欲しいというスタンスで書かれているが、患者本位の医療に有益な内容がある。

医者は患者から冷淡に見られることが多い。しかし、それはコミュニケーションを取る時間が十分にとれないためとする。この対策として、患者が事前に聞きたいことをメモし、診察時に医者に見せることを勧める。これによって効率的な診察が可能になる。これは診察に限らず、全てのことに当てはまる。ビジネスシーンでもダラダラの対面コミュニケーションは無駄な仕事としてなくす方向になっている。

そもそも話し相手として医者を期待することは間違えである。本書は困る患者として、治療と無関係の話を続ける患者を挙げる。話をすることの効用を否定するつもりはない。海堂尊の医療ミステリーのバチスタ・シリーズでは愚痴外来が登場する。しかし、それは医者の仕事とは限らず、必ずしも医療資源の効率的な使い方とは言えないだろう。

アメリカならばカウンセラーが普及している。もし、カウンセラーは話をするだけだから意味がないと考えているならば、話し相手を欲すること自体が迷惑な行為になる。

チェーザレ~破壊の創造者~ 3

惣領冬実『チェーザレ~破壊の創造者~ 3』は大学が主要舞台に戻る。フランス出身の学生の派閥が横暴を極めている。それをチェーザレがあしらう。それは痛快であるが、そもそも派閥で集まり、争うこと自体が虚しい。

チェーザレはイスラム文化の優れた点を評価する合理主義者である。この感覚は優れている。ヨーロッパ中心主義に陥っていない。アンジェロはチェーザレに型に囚われない自由の精神を見出だす。アンジェロは共和制、チェーザレは君主制と政治思想は異なるが、自由の点では共鳴する。自由のない共和制は多数派の圧政となってしまう。これは現代の民主主義でも考えておくべき点になる。

マキャベリが登場する。私はチェーザレ・ボルジアという人物をマキャベリによって知った。マキャベリあってのボルジアである。本作品がマキャベリをどのように描くかも興味深い。

マキャベリズムは色々な受け止められ方がある。本作品のボルジアには目的のために手段を選ばないという卑怯さはない。逆にフランス団の横暴を許さないという正義感がある。マキャベリズムは、それほど悪く言われるものではなく、一種の合理主義との解釈も成り立つのではないか。

「自己決定権」という罠

小松美彦、今野哲男『「自己決定権」という罠』(言視舎、2018年)は「自己決定権」の危険性を主張した書籍である。脳死や臓器移植、安楽死・尊厳死の推進はナチスの発想と同根と指摘する。「自己決定権」や「人間の尊厳」を名目にした人間選別思想である。それは相模原障害者殺傷事件にも結びついているとする。

主に小松さんが主張し、今野さんが聞き手になっている。小松さんは生命倫理の研究者で、東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター教授。

インフォームド・コンセントや患者の自己決定権は患者のためのものである。ところが、日本では正しく使われていない。医師が安易に使って責任を患者に押し付けたり、責任逃れに悪用されたりしているように見える。承諾書にサインしたのだから文句を言えないというようなアリバイ作りに使われている。「契約書に署名捺印したから、契約の意思表示があり、契約は有効に成立した」は悪徳商法の論理である。

さらに政府には医療費削減の動機があり、国民は治療中止の自己決定をしむけられている面がある。治療拒否の意思表示は尊重するが、生きたいとの意思表示は無視するならば、自己決定権の尊重ではなく、医療費削減の誘導になる。このまま命の切り捨ての流れに任せては大変なことになるだろう。誰のための、何のための自己決定権かが問題である。

公立福生病院の人工透析中止事件は人の意思が絶対ではないことを明らかにした。亡くなった患者は治療中止の意思確認書を出した。その後、撤回の希望を表明したが、撤回されずに亡くなった。この点について小松さんはラジオで人の意思は変わるものであると指摘した(NHK『マイあさラジオ』「人工透析中止問題 ~自分の死は自分のものか~」2019年3月29日)。取り消す自由があってこその自己決定権になるのではないか。

近代法学は人の意思を絶対視し、相手方の信頼の保護を優先させる傾向があった。しかし、それは悪徳商法の契約を有効とし、悪徳業者を助ける結果となった。この19世紀20世紀的な意思表示ドグマを見直す時期に来ているのではないか。

第20回Oneさいたまの会

第20回Oneさいたまの会が2019年7月17日、さいたま市南区の武蔵浦和コミュニティセンターで開催されました。今回の名札は金魚と水風船が描かれています。今回も文教、市民生活、保健福祉、まちづくりの4グループに分かれて議論しました。私は保健福祉グループに参加しました。
***
終活の関心が高まっている。信託契約で死後の業務を処理してもらう。
さいたま市の病院立地は東部が寂しい。旧岩槻市は、元々春日部経済圏だったのではないか。
医師不足と言われるが、問題は遍在である。勤務医と開業医では収入や労働条件に格差があり、勤務医が避けられている。開業医も当番で総合病院の夜勤をしてもらう。
医師にとっては主治医制が長時間拘束の負担になる。チーム制にする。救急は大変というイメージがあるが、意外と産婦人科や小児科と比べて不人気ではない。救急は交代制が徹底されているため。
医師の負担を減らすために医師以外ができる仕事は医師以外が行う分業体制を徹底する。メディカルクラークを積極的に採用する。診療報酬には医師事務作業補助体制加算がある。
外国人富裕層が自費で高度医療を受診しに来るような病院にする。インバウンド消費を拡大する。日本の健康保険制度にフリーライドするような医療ツーリズムは問題である。
***
まちづくりのチームと重なりがありました。病院がバス路線の重要ポイントになっており、そこに道の駅を作り、東北物産展などを開くアイディアが出されました。
次回の日程は以下です。
第21回Oneさいたまの会
日時:2019年8月17日(土)午後6時から7時30分
場所:武蔵浦和コミュニティセンター8階第7集会室

聞いてよ市長!第2回「さいたま市民政策プレゼン大会」
日時:2019年10月30日(水)午後7時から9時まで
場所:サウスピア9階多目的ホール

【警察不祥事】警察官のスカート内盗撮が相次ぐ

警察官が女性のスカートの中を盗撮する事件が各地で起きている。山口県警の30代男性巡査が2019年7月9日付で女性のスカート内を盗撮したなどとして、県迷惑行為防止条例違反(盗撮)と軽犯罪法違反(のぞき見)の疑いで山口地検に書類送検された。起訴を求める「厳重処分」の意見が付けられた。県警は同日付で巡査を減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にした。巡査は同日依願退職した。
容疑は5月中旬、山口県防府市内の商業施設にあるゲームコーナーで、女性のスカート内をスマートフォンで盗撮したとしている。他の客の目撃情報や防犯カメラなどから巡査を特定した。任意の事情聴取に「下着に興味があり、数年前から盗撮をしていた」と認めたという。また、巡査のスマートフォンを調べたところ、2018年8月と2019年4月にも他人の住宅内を外から撮影するなどした疑いが強まり、今回を含め計3件を山口地検に書類送検した。
県警は「逃走のおそれがない」との理由で逮捕せず、私的行為の場合の公表基準を「停職以上」とする警察庁指針を理由に処分を発表しなかった(平塚裕介「巡査がスカート盗撮 逮捕せず書類送検 基準理由に発表せず 山口県警」毎日新聞2019年7月23日)。
北海道警察本部自動車警ら隊の巡査長(28)は札幌市内の商業施設で女性のスカートの中にカメラを向けたとして逮捕された。2019年7月16日午後7時頃、10代の女性客のスカートの中にカメラを向けた道迷惑行為防止条例違反の疑いが持たれている。
大阪府警交野署地域課の巡査(26)=大阪市東成区=も、女性のスカート内を盗撮しようとしたとして府迷惑防止条例違反容疑で現行犯逮捕された。逮捕容疑は2018年11月24日午後10時半頃、大阪市天王寺区の大阪メトロ長堀鶴見緑地線玉造駅の上りエスカレーターで、20代女性のスカート内に後方からスマートフォン(スマホ)を差し向け、盗撮しようとしたというもの。下着を盗撮する目的とする(「盗撮目的でスカート内にスマホ 容疑で大阪府警の巡査を逮捕」産経新聞2018年11月25日)。
女性が違和感で振り向くと、スマホを手にした巡査が「すいません」と言ってエスカレーターを逆走。別の階段から改札に上がったところを女性らに確保された(「スマホで盗撮 大阪府警巡査を迷防違反容疑で逮捕」毎日新聞2018年11月25日)。
大阪府警は巡査の逮捕を25日に発表した。「スリルと盗撮する達成感を味わいたかった」と供述しているという(「「スリルと達成感味わいたく…」盗撮容疑で府警巡査逮捕」2018年11月25日)。スリル達成感を味わいたいというところに異常性が表れている。違法捜査や冤罪作りもスリルや達成感を味わいたいというメンタリティからなのだろうか。
この事件と似た事件に和歌山県警巡査の盗撮事件がある。和歌山県警巡査は2018年9月9日、大阪メトロ日本橋駅の階段で女性のスカートを盗撮し、盗撮を注意した人に怪我を負わせて傷害容疑で逮捕された。盗撮の仕方や発覚後の逃走が共通する。
プールの盗撮でも埼玉県警蕨警察署の巡査部長(43)が東京都迷惑防止条例違反容疑で逮捕されたり、埼玉県警公安2課課長補佐の男性警部(57)が書類送検されたりしている。性犯罪の手口が組織内で共有されているのではないか。
警察不祥事の中で性犯罪は多いジャンルである。2019年上半期に懲戒処分を受けた警察官と警察職員は全国で113人。処分理由は「異性関係」が最多の35人で、内訳は強制わいせつ8人、盗撮7人、セクハラ6人。窃盗・詐欺・横領など27人(八木拓郎「警察の懲戒処分113人、最多は異性関係 今年上半期」朝日新聞2019年7月18日)。変態警察官が多過ぎる。

警察犯罪

刑事事件になった警察不祥事をまとめた。近時の警察不祥事としては埼玉県警巡査が警察官の立場を悪用して遺族から金をだまし取る詐欺パターンが深刻である。
林田力『警察犯罪』Amazon Kindle 2019/6/28
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Japanese Police Crime
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リベラルアーツ分野の書評集。リベラルアーツは都合の良い言葉である。何も言っていないに等しいと言われないようにしたい。
林田力『リベラルアーツ』Amazon Kindle 2019/6/23
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Liberal Arts
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林田力『安土桃山時代』Amazon Kindle 2019/6/16
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林田力『アメリカ』Amazon Kindle 2019/5/31
アメリカ合衆国を舞台とした作品の書評レビュー集
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林田医療裁判で佼成病院に公開質問状

患者の権利を守る会が林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)を踏まえて、立正佼成会附属佼成病院に2019年6月30日付で公開質問状を送付しました。林田医療裁判では経管栄養の管理や治療中止の意思決定のあり方が争点となり、患者の長男が経鼻経管栄養の流入速度を速めたことが違法と認定されました。これを踏まえた公開質問状の内容は根拠のあるものであり、佼成病院の安全性の向上にも役立つものです。

医療実務にキーパーソンの意見しか聞かないという感覚が残っていることに一石を投じるものです。キーパーソンが、いかなる手順で、関係者の合意を得てキーパーソンが選任されたのか、キーパーソンは患者をadvocateする立場で発言しているのか(自己の負担を減らす立場から発言していないか)が問われます。家長の意見が優先される昭和時代ならばいざ知らず、価値観が多様化してダイバーシティーが重視される21世紀にどのように受け止められるかを問う意義があります。

佼成病院が面会を拒否し、公開質問にも回答しないことは、卑怯、逃げたとの印象を与えます。それは病院のCrisis communicationとして避けた方が良いものです。佼成病院には、これまで以上の対応が必要です。

患者の長男が患者の経鼻経管栄養の流入速度を速め、その後に患者が嘔吐したことや、「延命につながる治療を全て拒否」する長男だけの意向で治療方針が決まったことは不自然な状況です。不自然な状況に対する見解を述べることが、何よりの対策です。

かつて患者と医師の間にはパターナリズムの関係があり、医師の決めたことに一方的に従うだけでした。しかし、今は20世紀ではなく、21世紀です。昭和ではなく、令和です。患者本位の医療、患者ファーストの医療は当たり前の価値観になっています。古い感覚に縛られていたら時代に合わなくなり、存在意義を失います。

医療は公的に保護された規制産業であり、高い説明責任が求められます。患者あってのビジネスモデルであり、患者や家族に向き合った丁寧な説明が求められることは言うまでもありません。佼成病院が公開質問状をクリーンな姿勢を打ち出す好機として活用することを期待します。

世の中には医療過誤や消費者問題、冤罪など様々な問題があります。それらの問題が埋もれてしまい、広く世の中に明らかにならないことは、日本の最も恥ずべき汚点の一つです。日本社会には残念ながら、被害者であることを明らかにすることを恥と考える文化が存在しました。このような誤った風俗の存在は嘆かわしいことです。被害を明らかにするために活動する人々は称賛されこそすれ、非難される道理は存在しません。公開質問状が血と涙を知的財産に変える活動になると信じています。

Google訴訟で詐欺検索結果削除認めず

自社名を検索すると「詐欺」などと表示され名誉が傷つけられたとして、セキネットが米Googleに検索結果の削除を求めた訴訟は検索結果の削除を認めないことで確定した。検索結果の削除は検索事業者による表現行為の制約になり、名誉毀損を理由とした削除請求が認められるには厳格な要件が必要とする。

Google側は以下のように主張していた。「仮に社会的評価が下がったとしても、表示の重要部分は間違っていないし、みんなの利益にもなる。つまり、公共性と公益性、真実性・真実相当性があるので、名誉毀損にはあたらない」(「ネットの悪評「消してほしい」アフィ業者と「消さない」Google 裁判始まる」BuzzFeed Japan 2016年10月7日)

東京地裁平成30年1月31日判決(鈴木正紀裁判長)は「検索結果が真実でないとは認められない」と削除を認めず、原告側の請求を棄却した。セキネットは控訴したが、東京高裁平成30年8月23日判決も一審判決を支持し、控訴を棄却した。

大段亨裁判長は、検索結果が真実でないことや公益性がないことが明らかで、重大で回復困難な損害が生じる恐れがある場合、削除が認められるとし、削除請求は出版物でいえば事前の差し止めに当たるとした(「ネット検索削除、二審も認めず グーグル訴訟で厳格基準」中日新聞2018年8月23日)。

最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は2019年7月16日付で上告を退ける決定をした(「東京のネット関連会社、敗訴確定 検索結果の削除認めず」共同通信2019年7月17日)。

麻雀放浪記2020

『麻雀放浪記2020』は阿佐田哲也『麻雀放浪記』を原案として、2019年4月5日に公開された映画である。坊や哲(斎藤工)が1945年から2020年にタイムスリップする。『麻雀放浪記』とは物語の時代が異なる。あくまで原案としただけの新たな作品である。清水洋三『麻雀放浪記2020』(近代麻雀コミックス)は漫画版である。

坊や哲がタイムスリップした2020年の日本は監視社会化したディストピアである。監視カメラやマイナンバーによる監視社会化が進み、警察はデモ参加者に殴る蹴るの暴力を加える。東京オリンピックは戦争で中止された。オリンピック会場予定地ではオリンピックの代わりにAIと人間を麻雀で戦わせる麻雀世界大会が開催されることになり、坊や哲が参加する。エンジニアの林田(矢島健一)が開発したAI搭載アンドロイド(ベッキー)が人間の参加者を迎え撃つ。

映画に出演したピエール瀧はコカインを使用したとして麻薬取締法違反容疑で逮捕された。しかし、他出演作品の自粛とは一線を画し、ピエール瀧出演シーンをノーカットで劇場公開した。警察の横暴や個人情報無視など権力批判が鋭い作品である。ピエール瀧が演じる杜という人物自体が森喜朗元首相を風刺した存在である。もし映画が公開中止となったら、公開中止とするための権力側の策略ではないかと陰謀論に与したくなる。

実際、ピエール瀧の冤罪を指摘する声がある。コカインの恐ろしい症状にコークバグがある。コカインを摂取していると、体中を小さな虫に這い回られるような感覚に陥る。ここから皮膚をひっかき、皮膚が裂ける傷が体中にできる。この傷がコークバグである。冤罪説は、半裸パフォーマンスの多いピエール瀧の身体にコークバグは見られないと指摘する。

ピエール瀧の擁護意見には依存性薬物を問題ないと開き直るものが見られた。そのような意見には同意できない。危険ドラッグ中毒者が交通事故を起こすなど依存性薬物は本人だけの問題ではなく、社会悪である。それに比べると上記の冤罪説は依存性薬物の恐ろしさを広めることと両立する主張である。

無電柱革命

小池百合子、松原隆一郎『無電柱革命』(PHP新書、2015年)は無電柱化推進を訴える書籍である。一般に無電柱化の目的は景観とされる。それに加えて防災目的がある。災害時に電柱が倒れて害を及ぼし、さらに復旧の妨げになるという問題である。阪神・淡路大震災の被災者へのアンケートでは、回答者の76%が倒壊した電柱で被害に遭ったとする。
共著者の小池氏は後に東京都知事になり、そこで無電柱化に力を入れる。「私は以前から「無電柱化」に、ずっとこだわってきました。阪神・淡路大震災の時に電柱が倒れることによって救急車や消防車の行く手が阻まれました。そうした問題もあって、私自身は以前から電柱に対して違和感を持っていたんですけれど、これも一気に進めていくようにしたい」(「小池百合子・東京都知事インタビュー(後編)、「金融、バリアフリー、無電柱化で技術革新」」日経xTECH 2018年3月15日)
無電柱化は欧米だけでなく、中国や韓国でも進んでいる。いつの間にか日本は後進国に転落している。これには「電柱を残すことが昭和のロマンがあっていい」という感覚があるのではないだろうか。働き方改革やシェアリングエコノミーが進まないことと共通する問題である。
もっと意味のある無電柱化への批判がある。街路樹を伐採する無電柱化工事への批判である。景観を良くする無電柱化が街路樹を伐採して景観を破壊することは本末転倒に見える。しかし、これは実はあまり噛み合った批判にならない。無電柱化には防災目的があり、それならば全ての箇所で無電柱化を進めるべきという結論になる。「この場所は街路樹が整備されているから、このままでいい」という主張は通しにくい。
建設的な批判をするならば「既存樹木を伐採しない無電柱化」を提言することになるだろう。しかし、これも言葉としては美しいですが、実現性を考えると問題がある。街路樹は残すとなると、道路は掘らない代わりに軒下配線や裏配線が求められる。これは道路脇の土地所有者に新たな負担が生じる。さらに道路脇の民有地の地下に電線を通す案も浮上しかねない。
実は小池百合子政経塾・希望の塾第五回講義では無電柱化が取り上げられた。そこでは無電柱化のために「工事の受容・協力、地上機器受け入れ等も必要に」と指摘された。無電柱化という公共目的のために私権である個々人の土地所有権を制限する考えが出ている。私は、これを最も危惧している。既存樹木を伐採しないことが目的化されると逆に周辺民有地の私権の犠牲を推進することになりかねない問題がある。
無電柱化には電力一家の独占利権を打破する効果があると考える。日本で無電柱化が進まない理由の一つに電力会社や系列企業に無電柱化のインセンティブが働かないことがある。ここでも既得権の打破が必要である。無電柱化は環境以外にも考える要素がある問題である。

超小型電気自動車EV「コムス」(COMS)カーシェア

超小型電気自動車EV「コムス」(COMS)のカーシェアリングステーションです。東京都千代田区の大手町で公道上です。目的地近くのステーションで車両を返却できるワンウェイトリップ方式のステーションです。
パーク24が運営します。2016年12月に始めた実証実験が出発点です(窪野薫「パーク24が日本初の“路上”カーシェア、1人乗りEVで」日経テクノロジーOnline 2017年1月6日)。シェアリングエコノミーが現実化しています。20世紀ではなく、21世紀に生活していることを実感します。
超小型電気自動車のカーシェアリングは岡山県岡山市でも実証実験「オカモビ」が行われました。日産自動車は2017年3月17日に、神奈川県横浜市で実施していた小型EV「日産ニューモビリティコンセプト」を用いたカーシェアリングの実証実験を再開しました(窪野薫「日産が超小型EV用いたカーシェアを再開、横浜に14拠点」日経テクノロジーOnline 2017年3月22日)。
自動車は転換期に来ています。これからは人と共存するモビリティー、人に優しいモビリティーの時代です。20世紀のガソリン自動車に最適化された自動車専用高速道路は時代遅れです。
「電動駆動で1~2人のヒトやモノを運ぶ「超小型EV」において、“ 種の爆発” とでもいうべき、爆発的な開発ラッシュが始まっている」(野澤哲生「超小型EVに“種の爆発”」『日経エレクトロニクス』2017年3月号40頁)。
「人やモノの移動を低速/超低速で実現する1~2人乗りの超小型電気自動車(EV)は、今注目を浴びている自動運転EV技術の適用先として大化けする可能性がある。これまで市場はないに等しい状態だったが、巨大市場に育っても不思議ではない」(野澤哲生「超低速~低速域に潜在市場、かばんに入る“クルマ”も続々」『日経エレクトロニクス』2017年3月号42頁)
小型モビリティーの普及でも国土交通省が抵抗勢力になっています。「「一体いつになったら公道を走れるのか」「規制緩和で誰が困るのか」─。複数の超小型電気自動車(EV)メーカーの関係者は、日本の超小型EVに対する道路や車両の規制に強烈な不満をあらわにする」(野澤哲生「世界に取り残される日本、雪解けは2020年以降に」『日経エレクトロニクス』2017年3月号42頁)
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