林田力 何者のだましの堤防も崩す

『東急不動産だまし売り裁判』著者

ノンフィクション著者。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』マンションだまし売り被害を消費者契約法で解決。何者もだまし売りのない世界へ。だまし売りNoでSDGs。消費者の堤防/Amazon Kindle出版/林田医療裁判/中野相続裁判/二子玉川再開発問題/書評/マンガ/YouTube
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寿司

寿司スライドショー

握り寿司は江戸時代のファーストフードです。楕円形の酢飯の塊にマグロなどの寿司ネタを載せる形が基本です。手軽に食べられる点が寿司の魅力です。寿司は高級ぶるものではなく、屋台で提供されていました。値段と味が比例するという類の価値観は拝金主義的であり、浅ましい考えです。寿司は、お腹いっぱい食べるものです。
林田紀音夫の俳句に「寿司もくひ妻の得し金減り易し」とあります。
寿司の花形はマグロです。しかし、江戸時代は異なっていました。「冷蔵技術が発達していなかった江戸時代、赤身のマグロは傷みが早く、敬遠されていました。現代では超高級食材のトロでも、脂ばかりで猫も食べないということで、猫マタギと呼ばれていた時期もあったほどです」(「マグロは呼び名が変わるのになぜ出世魚ではない? 意外すぎる理由とは」AERA dot. 2019年9月18日)。私達が伝統と考えているものも実は昭和からの伝統に過ぎず、本当の日本の伝統とは異なるものが結構あるのではないでしょうか。
マグロやカツオには2020年問題があります。マグロやカツオの好漁場のパラオが2020年に外国船の操業を禁止します(「マグロ・カツオの2020年問題」日本経済新聞2018年4月12日)。最近では野菜寿司も登場し、ベジタリアンに注目されています。腕時計や指輪を付けたまま寿司を握ると食中毒の原因になります。

ごほうびおひとり鮨

早川光原作、王嶋環漫画『ごほうびおひとり鮨』(ヤングジャンプコミックス)は主人公の女性会社員が自分へのご褒美として一人で寿司を堪能するグルメ漫画。実在の店舗を取材した内容になっている。自分へのご褒美はバッグやスイーツばかりではない。

原作者は多くのグルメ漫画を手掛けている食通である。ちょっとやそっとの料理には驚かなくなっている。第1巻の巻末の説明によると、高級寿司の経験の浅い漫画家の反応が反映されているという。このため、消費者目線の新鮮な感想が楽しめる。

私は夜間営業の寿司屋は酒で成り立っているイメージがあり、そのような寿司屋よりも回転寿司の方が寿司を腹一杯食べられると思っている。これに対して本作品で紹介された寿司屋は寿司を食べさせてくれる。

商品の工夫という点でも回転寿司は侮れないが、本作品の寿司屋も工夫している。むしろ回転寿司の新商品が寿司から外れたものとしまいがちであるが、本作品の寿司屋は寿司の枠内で工夫している。

本作品は主人公が実在する寿司屋に行き、お任せのコースを食べる物語である。しかし、脇の物語も女性会社員の生活感あるものになっており、読ませる。口コミサイトのレビュー主は、あの人ではないかと思わせる。

天辺の寿司

早川光原作、松井勝法漫画『天辺の寿司』(集英社、2019年)は天辺(てっぺん)の魚だけを買う出張専門の寿司職人を主人公としたグルメ漫画。最上級の寿司を目指すことに集中するため、面倒臭くて店舗も持たない変わり者。外見はぼーとしているが、切れ者という点は『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーと重なる。

天辺とは値段が最も高いものではなく、最も美味しいものである。価格と味や品質が比例するという浅ましい拝金主義を否定する。この思想は同じ原作者の『江戸前鮨職人きららの仕事』や『茶の湯のじかん』にも見られる。

敵役は中国の経営者である。この経営者が最高級の寿司を出す店を開く。チャイナマネーが出てくる点は現代的である。いつまでも昭和の感覚ではいられない。この経営者は日本の成金のような下品さはない。むしろ、日本の高級店は値段が高いばかりで、全ての料理の質が伴っていないことを批判している。この批判は消費者感覚からも支持できる。主人公と勝負する敵役は、主人公に倒される引き立て役であるが、全くの屑人間ではダメで、それなりの公正さが必要である。

渡職人残侠伝 慶太の味

早川光原作、橋本孤蔵漫画『渡職人残侠伝 慶太の味』は『江戸前鮨職人きららの仕事』のスピンオフ漫画。坂巻慶太が主人公。彼が渡り職人として全国を旅する。旅先で失われた思い出の料理を慶太が復活させる話が多い。しょうが焼きや餃子など鮨以外の料理でも活躍する。消費者に身近な料理の経験が後の回転寿司チェーン経営に活かされたのだろう。
物語は銀座の老舗鮨屋で職人として働いていたところから始まる。師匠は村社会的家父長的な搾取者であった。これは慶太が高いだけの老舗店に敵意を抱いても当然である。慶太は『江戸前鮨職人きららの仕事』第1巻では典型的な成金経営者として登場した。しかし、本作品にはそのような要素はない。人情味が濃い話ばかりである。
「高級な食材でしか美味しい料理を作れないなんて本当の料理人じゃない」との台詞がある。値段と味や品質が比例するという浅ましい拝金主義を否定する。これは『江戸前鮨職人きららの仕事』と重なる。消費者が支持できるグルメ漫画である。
慶太は料理について考えている時に脱いでいることが多い。何故か肉体美を披露する。附田祐斗原作、佐伯俊作画『食戟のソーマ』では料理の味に感動すると脱いでしまう。グルメ漫画にはキャラクターを脱がせるという演出法があるのだろうか。

江戸前鮨職人きららの仕事 2

早川光原作、橋本孤蔵漫画『江戸前鮨職人きららの仕事 2』は坂巻慶太との勝負。慶太が市場の高級魚を買い占めてしまった。そのため、イワシなどの安い魚で勝負する。食材の価格は味や品質と比例しないことを示した。

慶太は典型的な成金経営者として登場した。東急グループの創業者の強盗慶太と同じ名前であり、この点でもイメージが悪い。しかし、第2巻では単なる成金経営者と異なる要素が出ている。

回転寿司のリーズナブルな価格で美味しい寿司を提供する。これは値段と味が比例するという拝金主義を否定する点で、海棠きららと重なる。機械化も店員の個人的な当たり外れをなくし、サービスを平準化する点で消費者に価値を提供している。きららが悩んでいるように分からないキャラクターである。

マグロは寿司の華という位置付けである。しかし、江戸時代は異なっている。「冷蔵技術が発達していなかった江戸時代、赤身のマグロは傷みが早く、敬遠されていました。現代では超高級食材のトロでも、脂ばかりで猫も食べないということで、猫マタギと呼ばれていた時期もあったほどです」(「マグロは呼び名が変わるのになぜ出世魚ではない? 意外すぎる理由とは」AERA dot. 2019年9月18日)。私たちが伝統と考えているものも実は昭和からの伝統に過ぎず、本当の日本の伝統とは異なるものが結構あるのではないか。

江戸前鮨職人 きららの仕事

早川光原作、橋本孤蔵漫画『江戸前鮨職人 きららの仕事』(集英社)は女性鮨職人を主人公とした料理漫画。高級店に胡坐をかいている銀座の鮨屋に少女が現れ、握りの技で職人を打ち負かした。海棠きららは、私の握りたい鮨は一部の金持ちだけが食べられる鮨じゃないと主張する。値段は品質や味と比例しない。値段が高いものを有難がるのは情報弱者である。本作品には情報弱者の権威主義を斬る痛快さがある。まさに「辻斬り」である。

鮨は握るものであることを再確認させられる。料理人の技術が直結する難しいが、やりがいのある料理である。子どもの頃に自家製の鮨は鮨屋の鮨と何か違うと言って親を怒らせたことがあった。

きららは既に天才的な技術を習得している実力者である。しかし、一人で鮨屋を運営する経験は足りない。そのために他所の店で修行する必要がある。これは物語の展開として巧みである。修行先は九州の寂れた鮨屋である。その鮨屋の土地を狙う成金経営者と勝負することになる。成金経営者は典型的な悪役風である。成金経営者が叩かれる展開を期待する。

話と話の間のコラム欄では鮨の蘊蓄が語られる。いい鮨屋は天然の本ワサビを使用する。粉ワサビは辛さだけが際立つ香辛料であるが、本ワサビにはほのかに甘い味があり、鮨を引き立てる調味料である。単に辛いだけでは深みがない。

がってん寿司の旬の桜鯛

がってん寿司北浦和店は、さいたま市浦和区上木崎にあった回転寿司チェーンである。私は2009年4月5日に食べたが、今は閉店している。
回転寿司といえば安価な寿司というイメージがある。築地や銀座のお寿司には無い、素材を生かしたボリューム感とコスト・パフォーマンスの良さが魅力である。回転寿司は消費者志向である。抱き合わせのコース販売、セット販売ではなく、バラ売りである。
消費者は好きな皿を選択できる。自由に選択することは魅力であるが、色々と調べて判断しなければならない大変さも付随する。しかし、回転寿司は流れてくる皿を待っていれば良い。楽に選択できる点が消費者に優しい。寿司は江戸時代のファーストフードであり、かしこまって食べるものではない。回転寿司こそ寿司の真髄を有しているのではないか。
がってん寿司は株式会社アールディーシーが運営する。回転寿司の中では本格志向という特徴を持つ。市場直送と店内調理という2つのこだわりを有している。そのためにグルメ回転寿司を自称している。
また、店名にも使われている「合点承知(がってんしょうち)」を合言葉に、機械的な接客ではなく、店員の威勢の良さを売りとしている。私は14時台という中途半端な時間に訪れたため、回転レーンにはそれほど寿司が回っておらず、店員に注文することが多かった。回転寿司でありながら粋な店員に注文して握ってもらうという楽しみも味わえる店である。
金額は一皿100円台で統一している同業他社に比べて高めである。例えば定番ネタである「まぐろ」は一番安い一皿126円(税込み、以下同じ)ではなく、一皿189円に位置付けられている。一皿525円という高額メニューもある。しかし、ネタは握りから食み出るほど大きく、コスパは悪くない。
旬のメニューになった桜鯛は産卵を控えた鯛を指す。桜の咲く時期に獲れ、ウロコが桜色をしていることから桜鯛と呼ばれる。桜色になるのは産卵場所に集う雄と雌が恋をして赤くなったというロマンチックな説明もなされる。
冬の冷たい海を越えた桜鯛は、引き締まった身の中に旨みが凝縮されている。産卵のために深海から内湾の浅瀬に群集する桜鯛は漁獲しやすく、しかも美味しいという正に旬のネタである。桜鯛は俳句の季語にもなっている。正岡子規の句に「俎板に鱗ちりしく桜鯛」がある。俎板を背景に桜鯛の桜色が鮮やかに映る。
がってん寿司の桜鯛は県魚をマダイとする愛媛県の産である。正岡子規は愛媛出身であった。透き通るような白い身はクセがなく、美味しく食べられる。淡白にして味わい深い桜鯛であった。
初出:林田力「がってん寿司 の旬の桜鯛」ツカサネット新聞2009年5月13日

かっぱ寿司トロ尽くしの新春初売り

かっぱ寿司与野店はさいたま市中央区本町西にあった回転寿司チェーンである。大宮バイパスの近くにあったが、2016年に閉店した。私は2008年1月2日に寿司を食した。かっぱ寿司はカッパ・クリエイト株式会社の運営する回転寿司のチェーン店である。高級そうなイメージのある寿司を庶民的にしたものが回転寿司であるが、かっぱ寿司は庶民的傾向を徹底している。
その特色は一般の寿司屋らしからぬメニューを充実させていることである。洋風のネタ(ハンバーグ、生ハムなど)やサイドメニュー(チキンナゲット、たこ焼きなど)、デザート(チーズケーキ、デザートなど)などである。生魚が苦手の人も含め、ファミリー層が楽しめる店になっている。「訪れる度に新しい楽しさを味わえる、 そんな回転寿司になりたい。という思いでお寿司を提供しています」と称している。
かっぱ寿司では「新春初売り」と称して年始から営業している。新春初売りキャンペーンでは、「自慢の大トロ食べ比べ」をキャッチコピーに「みなみまぐろとろ」「とろびんちょう」などトロを中心としたネタを提供する。ミナミマグロは南半球に生息するマグロである。インド洋で多く漁獲され、インドマグロとも呼ばれる。クロマグロと同じくトロが多く、クロマグロに次ぐ人気がある。
握り寿司の代表格はマグロである。そのマグロが沢山あることは嬉しい。また、トロというと先ずマグロを想起するが、本来は肉の脂肪の多い部分を指し、マグロに限定されない。「とろサーモン」や「鴨とろ」など様々なトロを味わえることも魅力である。
私が印象に残ったネタは「とろかじき」である。通常の握り寿司は一皿に2貫乗っているが、これは一皿に1貫しかない高級品である。カジキマグロは通常のマグロに比べて歯応えがある。しかし、口に入れるとフワフワで、脂身が旨みとなって口の中に広がる。引き締まった脂身を味わうことができた。
因みにカジキマグロという魚は存在しない。メカジキやマカジキがカジキマクロとして提供されている。肉質がマグロに似ているためにカジキマグロと称されるが、サバ科のマグロとは分類上は離れている。
私が店に入ったのは13時半くらいという中途半端な時間にもかかわらず、満席状態で少し待つ必要があった。店を出た14時過ぎになっても待っている客は増加の一方という盛況振りであった。
満席の場合、受付のカウンターに名前を書いて待つ。順番が来たら呼ばれて席に案内される仕組みである。先着順に案内するのが基本であるが、人数や席の希望(カウンター席かテーブル席か)によって順番が前後してしまうことがある。その場合、アナウンスで「お席の関係で順番が前後しますが、○○様をご案内します」とフォローを入れている。一言付けるだけだが、嬉しい気配りである。
私は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から隣地建て替えなどの不利益事実を説明されずにマンションを購入して裁判トラブルになった経験がある(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。その経験があるため、消費者の立場に立った企業姿勢は高く評価する。かっぱ寿司が正月から繁盛していることに納得できる味とサービスであった。
初出:林田力「【かっぱ寿司】トロ尽くしの新春初売り」ツカサネット新聞2009年1月4日
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